会長のあいさつ

 神奈川県獣医師会は、1927年に設立され、1949年に社団法人となり、2013年には公益社団法人に認定され、2025年4月に設立98年を迎えました。
 横浜市と川崎市を除く神奈川県内に居住、勤務する獣医師、または本会の趣旨に賛同する個人、団体の方551名、19団体(2025年3月31日現在)で組織されています。
小動物や家畜の診療を行う臨床獣医師、公務員として畜産振興、公衆衛生、動物福祉、自然環境保全に取り組む獣医師、麻布大学と日本大学の教職員獣医師等が会員として加入しています。
 獣医師の社会的役割は、ペットの健康管理、産業動物の健康管理、食肉、鶏卵、牛乳、乳製品等を安定してお届けすること、またその安全性を確保すること、動物から人へ感染する病気の予防、監視、制御を行うこと、動物愛護・福祉の推進、保護動物の新しい飼い主への譲渡、傷病負傷動物の保護治療、そして、傷病鳥獣の治療、絶滅危惧種の保護、固有種の保存、外来種の管理など、さらに、獣医学の発展のためと研究、教育と多岐にわたっています。
 公益社団法人である神奈川県獣医師会には、利益の追求でなくこれらの専門知識を活かして、社会貢献を目的に公益事業を行う獣医師が加入しています。
 その公益事業として、教育及び知識の啓発、畜産振興、狂犬病などの動物由来感染症対策、身体障害者補助犬保健衛生支援、県との獣医療連携、多頭飼育対策として飼養動物の避妊・去勢手術、飼い主のいない猫の避妊・去勢手術、学校飼育動物飼育指導、野生傷病鳥獣保護救護、災害時動物救護活動を行っています。
 また、公益事業の大きな柱のひとつに狂犬病予防事業があり、狂犬病予防定期集合注射や犬の登録・注射促進を行っています。日本では1957年以降、狂犬病の発生は確認されていませんが、世界では毎年約5万人以上が狂犬病で死亡しており、日本でも侵入リスクはゼロではありません 。狂犬病は、犬に限らずすべてのほ乳類に感染します。人では、狂犬病を一旦発症すれば致死率がほぼ100%と非常に危険な感染症です。WHOのガイドラインには、犬のワクチン接種率70%が国内侵入時のウイルスのまん延を防止できる目安とありますが、すでにこれを下回っている可能性があります。また厚生労働省によりますと地域格差が50%~80%と大きくなっており、これらのことから益々の飼い主様への情報提供や行政による啓発活動が求められ、本会も接種率の向上に努めています。
 ホームページには、新たな情報を随時アップしております。事業の詳細、獣医師のお仕事の紹介、身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)保健衛生支援の詳細、狂犬病予防注射等も掲載しています。ぜひ定期的にご確認いただき、獣医師会の活動内容と獣医師の仕事内容についてご理解とご支援をお願いいたします。

 最後に、本会の活動に多大なるご理解ご協力をいただいている県民、関係者、関係団体の皆様に心より御礼申し上げますとともに、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

令和7年7月8日

公益社団法人 神奈川県獣医師会 第13代会長 相原 栄一